第15巻3578番歌はこちらにまとめました。
第15巻 3578番歌
巻 | 第15巻 |
歌番号 | 3578番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | 遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌 |
原文 | 武庫能浦乃 伊里江能渚鳥 羽具久毛流 伎美乎波奈礼弖 古非尓之奴倍之 |
訓読 | 武庫の浦の入江の洲鳥羽ぐくもる君を離れて恋に死ぬべし |
かな | むこのうらの いりえのすどり はぐくもる きみをはなれて こひにしぬべし |
英語(ローマ字) | MUKONOURANO IRIENOSUDORI HAGUKUMORU KIMIWOHANARETE KOHINISHINUBESHI |
訳 | 武庫川の河口付近の入り江の洲(しま)の水鳥が羽に包むように、私を守ってくれたあなた。そのあなたから離れたら私は恋い焦がれて死んでしまうでしょう。 |
左注 | (右十一首贈答) |
校異 | – |
用語 | 遣新羅使、天平8年、年紀、贈答、地名、兵庫県、武庫川、動物、女歌、悲別、序詞、恋情、羈旅、出発、難波、大阪 |
解説
題詞は「遣新羅への使人等が別れを悲しんで贈答した歌、及び海路にあって思いを述べた歌、並びに所にあたって詠み上げた古歌」という意味。第15巻は阿倍継麻呂たちが新羅へ向かうものの、手厚い歓迎は受けず、しかたなくそのまま奈良へ帰るまでの流れを詠った歌集になる。継麻呂は途中で病死。
武庫川は兵庫県西宮市と尼崎市の間を流れる川。「武庫の浦の入江」はその河口付近を指している。「洲鳥」は干潟のような洲に巣くう鳥。「羽ぐくもる」は「親鳥の羽に包まれる」こと。